◆ ◇ ◆ トビッキリBIG?な大・作・戦! ◆ ◇ ◆
童実野高校に通う一人の女子高生、その名は
その少女からは、今日も異様な気配が漂っていた。
学校の帰りのチャイムが鳴り響き、皆が帰り支度をしている中、一人ノートを取りだして何かをつらつらと書きつづっていく。
ちゃん。何してるの?」
その声は、クラスメイトの遊戯のもの。
は慌てずにパタッとノートを締めて、遊戯に向かってにっこりと微笑む。
「何でもないの。……それより…ねぇ、遊戯くん?」
「何? ち……」
遊戯は突然の出来事に言葉を失った。
何故なら、 が遊戯に抱きついたからだ。
おたおた、わたわた……と戸惑いまくる遊戯。
「ど……どうしたの、 ちゃん!?」
は、抱きついていた遊戯から離れると満面の笑みを作る。
そして、クルリと踵を返すと遊戯に向かって片手を振り挙げた。
「ヘヘヘ……じゃあネ!!」
タタタ……とダッシュで駆けていく に、遊戯はひたすら呆然としているのみだった。

さて はどこへ行ったかというと、自分の教室から少し離れた廊下の壁にもたれ、息を切らしていた。
呼吸を調えると意気込んでみる。
「よし!後4人……」
慎重に作戦を練りながらノートに何やらをメモっていく。
「さてと……」
そんな時、右の方から生徒達のどよめきが聞こえた。
ノートを閉じてそちらの方を見ると、廊下の奥の方から人の道を作りながら歩いてくる学生1人が目に入った。
は何かを思い立ち、その人物の前を通せんぼするように立ちふさがり、彼の名を呼ぶ。
「海馬くん!」
「ん?何だ?お前」
はその海馬の返答にがっくりした。
「あ…あのね、私海馬くんと同じクラスの なんですけど…」
海馬は少し考え、 に向き直る。
「ホウ…して 。オレに何か用なのか?」
「うん!あのね、私…」
「…何だ?」
なかなか言い出さない に苛立ちを感じながらも、健気に待つ海馬瀬人。
しかし――
、オレは忙しいのだ。言える決意が出来た時にオレの元に来い」
そう言って海馬は の横を通り過ぎようとした、その時だった。
  ギュッ!
海馬の腰に、後ろから何かが触れた。……と言うより巻き付いたと言ったほうが正しいかもしれない、その光景。
「…なっ!!」
それ以上の声にもならなく、動揺しまくる海馬。
そこにいたのは紛れもなく だった。
彼女はゆっくりと海馬から離れていく。

・・・3・・・2・・・1・・・

「き……貴様〜〜〜!!!(怒)」
「キャッ!海馬くんに抱きついちゃった〜〜vvv」
  ヌヌヌ……
嬉しそうにはしゃぐ の姿に、海馬は顔の前でコブシを作り、怒りに打ち震えている。
「何のつもりだというのだ、 !!」
震える声で言う海馬に対して、 はチョコチョコと海馬の横を走り去ると少し離れた場所でクルリと向き直る。
そして、人差し指を目の前に持っていくとウインクして答える。
「エヘヘ!それはね、こうしたかったからなの!!」
そう言うと、 はダッシュでその場から逃走していった。
その場に訳も解らずポツンと残された一人――海馬は、その彼女の後ろをジッと見続けるしかなかった。

――エ〜〜〜ッと……
は廊下の壁にもたれ、ノートをペラッとめくり一つチェックを入れる。
「後3人……」
「アッ、 !」
その時、唐突に横から声が掛かった。
声の主は、 にとって一番知っていて、そして一番大切な人。
「獏良くん!」
パタッとノートを締めてその名を呼ぶ。
今日獏良は週番の当番なので、先生の頼まれ事をしているところなのだ。
「週番の仕事、どう?終わりそう?」
そう尋ねると、獏良はにっこり微笑みながら頷く。
「うん、後このプリントを職員室に持っていくだけだから」
「じゃあ、私も手伝うよ!」
は獏良の持つ段ボール箱を支えようと横から手を出そうとした。
しかし、獏良は からそれを遠ざけると首を横に振る。
「あっ、いいよ。ボクだけでも十分持てるから」
余裕を見せるようにニッコリ笑って返すが、段ボール箱に入っている紙の量から軽く10kg以上あるはずだ。
「そ…そう?でも重そうだよ、これ」
心配そうに問う に対して、獏良は彼女に向かってウインクする。
「ボク、こう見えても力あるんだ。だからこれくらい平気だよ」
「ホントに大丈夫?気をつけてね。…教室で待ってるから!」
「うん、早めに終わらせるよ!」
にそう告げると、獏良は職員室へ足を向けた。

獏良と約束をした は、教室まで行くことにした。
途中ふと立ち止まり、壁にもたれてノートを広げる。
「え〜…と、2人目っと……」
そこには数人の生徒の名前が記載されていた。
パタッとノートを閉じると再び歩き出す。
その時、遠くの方に知った人物の後ろ姿を発見した。
はピンッと来たかの様に走り出す。
「マリクさん!」
「わぁっ!! あっ、 ちゃん。ビックリしたぁ」
マリクは、急に声を掛けられた事に驚いて一歩後退りする。
「ごめんなさい。…あれっ、そう言えば今日部活の方はどうしたんですか?」
「実は今日、休みなんだ。だからこれから帰る所なんだけど、ちょっと待ち合わせしててね。 ちゃんもひょっとして彼と待ち合わせ?」
「そうなんです。今獏良君が、週番で仕事を先生に頼まれているので、しばらくの間暇してたんですけど…」
そんな事を話していると、目の前の教室の扉がガラリと開いた。
「よぉ!待たせたな、マリク。……おっ、 もいるんか。どうしたんだ、こんな所で」
そこから出てきた人物――それは、獏良の兄であるバクラだった。
「あっ、獏良くんのお兄さん。少し暇してたトコロだったんです。そしたら偶然ここでマリクさんに会って…」
「…ひょっとして、ウチの弟が待たせてんだろ?いけねぇなぁ、 を待たせるなんてよぉ」
バクラは即言葉を返すが、 は彼の言葉に慌てて首を振りながら反論する。
「しょ、しょうがないよ…獏良くん週番だし。それに先生からの仕事だから」
俯いて言う に対して、バクラはそんな彼女の頭をクシャリとなでる。
「エライッ!それでこそ我が弟の彼女だ。これからもアイツのことヨロシクな?」
優しく言うバクラに対して、 はニコリと微笑んだ。
「ハイ!」
「じゃあオレ達、そろそろ帰るわ。行くぞ、マリク」
「うん、じゃあネ。 ちゃ…」
ドドド……
マリクが に別れを言おうとしたその時だった。
ものすごい足音が聞こえた。
!! はどこだ!!!」
その声は、紛れもなく海馬のものだった。
突然の大声にその場の3人は、驚いて声のするほうへ振り返る。
何と、すごい勢いでこちらに向かって走って来ているではないか!!!
「な、何があったの? ちゃん???」
「さ、さぁ…」
原因の元である は、マリクに尋ねられるが何とか白を切ってみる(笑)
「とにかくよ、 。こっちに隠れろ」
「うん、ありがとう。お兄さん」
バクラに促され、 は近くの教室に身を隠すことにした。
海馬の廊下を走る足音――それは、扉の反対側にいる にもよく解った。
「おい!そこの白髪の貴様!!」
「あぁん?何だと!オレ様の美しい銀髪を白髪だと!!!」
どうやら指名されたのはバクラの方の様だが…
白髪なんて言われて怒りが海馬に直撃する。
しかし、海馬はそんな事お構いなしに話し続ける。
「ふん、そんなことより此処にこんな髪型をした という女が来なかったか?」
よっぽど気が立っているのか、海馬は の特徴である髪型を手で大きくジェスチャーして伝えようとする。
「そんな事、知らねーよ!オレ様の髪を白髪呼ばわりしやがって!!」
「そこの貴様も知らないか?」
「おい!オレ様を無視するな!!!」
海馬はバクラそっちのけでマリクに尋ねる。
「うーん、ボクも知らないなぁ。この辺りでは見なかったよ」
「そうか、解った。クソゥ!海馬コーポレーションの全てを駆使してでも探しだしてやる」
海馬は風を巻き起こしながら、また廊下を突っ切っていった。
マリクは完全に海馬の姿が見えなくなるのを確認すると、 の隠れている教室の扉をそっと開ける。
ちゃん、もう大丈夫だよ?」
「うん、ありがとう」
は周りを確かめながら、ゆっくりと教室から出た。
「しっかしよぉ、海馬のヤロー…あれはタダ事じゃねーゾ。 、一体何したんだ?」
バクラは に疑問を投げつける。
「えー…っとね……」
「何かあったの? ちゃん」
は2人からの疑問の眼差しに耐えきれず、意を決して動いた。
「あのね…」
そう言いながら は、マリクの腰にギュッと抱きつく。
「こうやって…みたの……」
『!!!!!!』
その行動にビビりまくるマリク、そしてバクラ。
「あ、あの… 、ちゃん???」
動揺しまくりのマリク。
「…!!!」
そしてバクラは、 から目を離せずにいる。
そんな2人をよそにそっとマリクから離れる

  ……シー…ン………

数秒、数分の時が流れる。
そんな静けさの中、 は口を開く。
「…と言う事なの……マリクさん、ごめんネ?」
「!!!」
いまだ何も言葉が出ないマリク。
「じゃ、じゃあ…私、教室に帰らなきゃいけないから、もう行くね?」
いつまでも無言な2人を後に はその場を立ち去った。

その後――
教室に着いた は席につき、帰りの支度を進める。
皆帰ってしまって、教室には今誰もいない。
は獏良を待つために空いた時間、常備の小説を読んだりして時間を潰した。
(獏良くん、まだかな?仕事、手間取ってるのかな?)
そんな事を考えていたときだった。
教室の後ろの扉がガラリと開く音が聞こえた。
「おっ? か!? ここにいたんだな」
その声に反応して は振り向いてみた。
「城之内くん?」
そう、そこには城之内がいたのだった。
突然入ってきた彼に驚く
そんな彼女に、城之内は頭をカシカシと掻きながら困惑気味に話す。
「あのよ〜、遊戯のヤツが の事、探してたぜ?」
「私を?」
「オウ、何かよ〜、すっげぇ血相変えてたんだ。 、遊戯と何かあったのかよ」
「う〜ん、わかんない…」

ダダダダ…バン!!!

その時だった。
教室の扉を豪快に開ける音が、大きな足音と共に響いた。
「城ノ内くん!!!」
「おっ?遊戯…ってもう一人の遊戯か。どうしたんだよ?」
遊戯は をジッと用心深く見つめながら、城之内を自分の元へ引き寄せる。
城之内は訳が解らず頭にハテナマークをつけて、されるがままでいる。
その時、廊下から何人かの足音が続々と聞こえてきた。
それは海馬、そしてバクラとマリクのモノだった。
「オイ! 、何のつもりだというのだ!!!」
「そうだぜ。マリクに、その…いきなり抱き…つくなんてよ……」
バクラは小さくさせながら話す。
「バクラ!もういいよ。恥ずかしいから、やめてよ!!ボク、なんとも思ってないから!」
「マリク、おめぇは黙ってろ。オレ様の気がおさまらねぇ」
そう言いながらバクラは、キッと睨みつけるように の方へ顔を向ける。
遊戯そして海馬、バクラに攻められる
ピンチ!!! 3人と1人が対峙する。
「あの…それはね……」
ちょうどその時、教室の扉が開いた。
、仕事終わったよ。帰ろ……」
入ってきたのは言うまでもなく獏良だ。
今の状況を見て、彼自身が固まってしまった。
「な…みんな、何やってるの!!!」
「弟よ、帰ってきたか。それがよ、オレらに…その、よ…」
案外小心者のバクラ(笑)は声を小さくさせていく。
そこへ、海馬が割り込む。
「抱きついてきたのだ!!! 何とゲセン!!」
「そうだぜ、オレの相棒を傷モノに!!」
遊戯も割り込んで口々に言う。
「わー、みんな待ってよぉ!一度に言わないで〜」
が半分泣き顔になりながらも、周りはそれを止めようとはしなかった。
「待てよ、おめぇら?気は確かかよ!何でこんな事になってるんだ???」
城之内は訳がわからないまでも、取り合えずその場を抑えようとした。
「ふん、ここに凡骨が出てくる幕はない…」
「な、なんだとぉ!海馬ぁ〜〜!!うるぁぁっ!!」
城之内は海馬に飛びかかるが、難なくそれをかわす。
そして何も無かったかの様に、 の方へ向き直った。
「海馬のヤロォ〜〜!!」
わいわいと騒ぐ四人と、この事態を止めたいながら何もできないでいる一人。そして責め立てられる人間が一人。
そして、ここにそれを止めようとする一人が、手をわななかせながら震え上がっている。
そう、それは獏良だった。
彼は顔を上げると、その場にいる男性陣を睨みつけつつ、 と彼らの間に割って入っていった。
自分の最愛の彼女である を守るように、自分の背中の後ろへつかせる。
「みんな!何言ってるの!? がそんな事するわけないじゃないか!!!」
「な、何言ってんだ?弟よ。 がマリクを抱き…」
「してない!!!」
獏良は断固兄の言う事を否定する。
そんな時、海馬は一歩前に出て獏良にビシッと指を差し、言い放つ。
「貴様は解っていないのだ!その女がした行為、それはいかに下品きわまりない事かを!!!」
?オレは相棒にした事、絶対に許すことは出来ないぜ…?」
遊戯は に向かい、重くそれでいてゆっくりと話す。
そんな遊戯の言葉を聞いた は、少し半泣き状態で獏良の後ろで彼の服にしがみついたままぺたりとひざを突く。
「参りました…降参しますぅ…」
……」
獏良は悲しそうな瞳をしてそんな を見下ろす。
「ふんっ、解ればいいのだ。…では聞こう。 、ナゼこんなことをしたのだ?」
海馬は今にも泣き出しそうな を、先程とは打って変わって落ち着いた口調で問う。
「え……っと……」
3人が を見つめる。
そんな状況の中、獏良は顔をうつむかせ加減に暗くなったかと思うと の方へと寄っていく。そして彼女の前に立つと突然 を両手で抱き上げたのだ。
いわゆるお姫さま抱っこというもので…
「ば…獏良くん!!?」
さすがに はこの獏良の行動にビックリして叫ぶが、彼から流れ出る異様な気配…殺気にも似たそれは、ただモノではないことをここにいる誰もが感じ取っていた。
「行くよ 、ボクもうここにはいられない」
獏良はキッと3人を睨むと背を向けてその場を立ち去る。
「おい、待てよ」
バクラが獏良を止めようと肩に触れる。
しかし彼から発せられている異常なまでの空気に、さすがの兄であるバクラも思わずそこから手を放してしまった。
「獏良くん!恥ずかしいよぉ〜〜」
は獏良の胸元に隠れるように顔を埋める。
しかしそんな彼女の声が聞こえないかのように、獏良は気にせずその場から立ち去ってしまった。

残された3人と1人、そして訳がわからず巻き込まれた1人

「ねっ?バクラ、もうイイでしょう?さぁ、帰ろう」
マリクはそう言うと、バクラの手を引っ張りながらその場を立ち去ろうとする。
しかし―――

   シ………ーン

その場所でいがみ合いになっていた3人は、その場で立ちすくんだまま動けなくなっていたとさ。

おしまい

---戻る---

コメント・・・
はっきり言ってこれ書いてて、途中で何が何だか分からなくなってました。ホントになんて言うお話だか……ハハ…(^_^ゞ
しかしこのお話のもとは雅さんが描いて下さったイラストがもとなのです。サイトアップとかしてないモノなのですが、私(星夜彩)が遊戯王キャラを襲いに行くという、なんてハチャメチャな……しかし、こう字では表現できないのですが、ギャグでかなり笑えたので雅さんにドリー夢小説として書かさせていただけるように許可を頂いて、結果…こんなんです(^_^ゞ
これ読んだ方、どんな気分になったのか分かりませんが私は書いててめちゃムカつきましたよ〜〜!
キャラ設定はバレンタインの時の設定。だからといってヒロインはきっと別物でしょうが……
獏良ズは双子の兄弟でバクマリ。闇マリも出したかったんですけどねぇ…
マリクは自分の彼女じゃない別ヒロインだったら、優しいお兄ちゃんみたいな感じになると思うのですよ。だから『ちゃん』呼び。
ハッ!!!そういえば、獏良くん側は身体が別なのに、遊戯くん側は一緒のままだった……もう、どうにもならないのでこのままです(^_^ゞ結局、ノートは半分謎なまま……
03.03.17