---学園祭にて(獏良了編)---
今日は学園祭最終日、真っ最中。 出し物の当番がお互いに終わり、さんと学園祭デートと相成った。 「ねぇ、獏良くん? どこ行こうか、出し物がたくさんあって迷うよね」 「ボクね、行きたい所あるんだ。そこ行こう!」 「うん、いいよ。で、どこ行くの?」 「行けば解るよ、おいで♪」 彼女は、ボクに手を引かれるがままに進む。 「ここだよ」 彼女に振り向きつつ言う。 「ココって・・・」 そう、そこはお化け屋敷。定番といえば定番だから、是非入りたかった場所だ。 「獏良くん、ここ入りたいの?」 「うん、嫌かな・・・? まぁ、学園祭のものだしそんなに怖いものでは無いかもしれないけどね。ダメかな?」 「ううん、獏良くんが入るなら、私も頑張って入る」 「じゃあ、入ろっか」 ・・・もしかして、苦手だったんだろうか。 繋いだ手を強く握ってやると、返事をするかのように彼女も繋いだ手を強く握り返してきた。そのまま中へと進んでいった。 中は薄暗く殆ど見えない。思ったよりも本格的だった。 少し進む。すると定番の井戸が・・・ 『だれか〜〜だれか〜〜』 そんな声が聞こえてくる。繋いでいた手がいつの間にか、さんの腕によって抱きしめられていた。 (!!!) それによって、腕から彼女の胸の膨らみの感触が伝わる。 その瞬間 『わあああ!!!』 別の方向から絶叫が聞こえた。 「キャ!」 彼女の悲鳴と供に、抱きしめられた腕に力が入る。 「大丈夫、ボクが付いてるから。しっかりそのまま付いて来て」 「うん、ごめんね」 彼女は涙目になりながら、ボクにしがみ付いてそのままゴールした 「さん、こんなに苦手だったんだ・・・なんか悪い事してしまったみたいでゴメン」 「ううん、獏良くんがいたから大丈夫だよ、ありがとう。あっ、腕重かったよね、私もゴメン」 まだ緊張が解けてなかったようで、腕を抱きしめた状態であった。 彼女はボクから離れようとする。だけど、その行動を止めた。 折角抱きついてくれてるのに止めさせるなんて、男が廃るよね。 「ううん、いいよ。出来ればずっとそのままでいて欲しいな」 「・・・うん!」 さんは照れながらもニコリと微笑んで、彼を見上げつつ答える。 「ねぇ、さっきお化け屋敷でもらったんだけど・・・コレ」 それは生徒が作ったと思われる単調な銀の指輪であった。 「ゴールしたカップル限定にくれたんだ。指、出して? 付けてあげる」 「うん・・・」 するっとさんの指にはまっていく。 すごくドキドキする。さんはどうだろう? ふんわりとした笑みでありがとうと返すさん。 可愛い、もっと自分のモノにしたい。 独占欲が強くなる。 周りの事も気にせずにギュッと彼女を抱きしめると、彼女もキュッと抱きしめ返してくれた。 もっと愛したくて愛したくて・・・ 「ねぇ、こっち来て?」 「えっ?」 ボクは人が絶対来ないと思われる屋上へと続く階段を上り、錠のかかった扉のみある狭いスペースに着いた。 彼女は息を切らして付いて来てくれた。 「どうしたの獏良くん?」 「さん、キス・・・していいかな?」 彼女に伝えると吃驚したようで、目を丸くする。 「・・・うん。あ、でも」 「どうしたの?」 「実は今日、前に獏良くんから貰った口紅、今日つけてきてるんだ。だから・・・」 ちゅっ! 一瞬だった。彼女からの口付け・・・ 確かに待ってはいたけれど、お互いに好きな気持ちが解っているから、恥ずかしいだろうし、してくれなくてもそれで良かったんだ。 でも・・・本当にしてくれた。 彼女は俯いて、照れているのが非常に解りやすい。 可愛くて、可愛くてしょうがない。 「さん・・・ありがとう!」 彼女を強く抱きしめてやり少し離すと、指で俯いた顔を上に向かせてやり、口付けをする。 触れるだけの口付け・・・それだけじゃ足りない! もっと彼女を知りたい。 そう思うと自然に口内から舌を出して、彼女の中に進入させていた。 「・・ぅふ!!」 口付けしたままの彼女から声が漏れる。 動揺が唇を伝って解る。 口内を舌で少しずつ確かめるようになぞっていく。 彼女からフワッとボクの背中に腕が回される。 すると彼女もその舌を絡めるように、ぎこちないながらも動かしてきた。 嬉しくて嬉しくて・・・でもこのままでは一線を越えてしまいそうだ。 感触を確かめつつ、彼女から唇を離した。 銀糸が一本伝う。 まるで目覚めた時の様な、トロンとした彼女の顔がまた愛おしい。 「なんだか、ドキドキするね」 「うん、私もドキドキした」 一緒の気持ちだ。本当はその先もしたくてしょうがないけど、ここは我慢だよね。 |
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