+++ 紫雲院素良誘拐事件〜甘い日常甘いお菓子と辛い罠〜 +++
素良は、ゆっくりと目を開けた。そこは来た記憶もない、何処か知らない場所。
さっきまで一緒に話しをしていた遊矢はいない。
横たえたままの状態から、腕を軸にして起き上がってみる。
頭がボーっとして、身体が思うように動かない。
ゆっくりと辺りを見回してみると、見慣れない光景。
暗くて埃臭い、ここ数年は使っていなさそうな廃屋のような感じだった。
「なんで……ボクこんな所に?」
ポソッと呟きつつ、ゆっくりと立ち上がった。
出入り口を探して、壁伝いに歩いてみる。
すると柔らかいとも硬いとも言い難い感触を感じた。
『オイ、どこに行くんだ?』
そこにはまさに身の毛もよだつ、にやけ顔の大男がいた。
直感でこの男に拉致されてきたと、素良はすぐに理解した。
「……悪いんだけど、ボク帰らなきゃいけないんだ。そこどいてくれない?」
素良は精一杯の悪態をついて、この場所を離れようと出口と思われる扉に手をかける。
しかし当然だが、開きそうにもない。
その瞬間、後ろからガシリと両方のわき腹を抱えられた。
『お前榊家の息子だろ、大人しくしろ』
「はぁ? 何言って……止めっ!」
どんなに抵抗しても力では適わなくて、縄で両手の自由を奪われると柱に括り付けられた。
「っ!! こんな事をして、ボクはあの家の息子じゃないんだってば」
『何言ってんだ? お前あそこから出てきただろ。見てんだよ、俺は』
訴えても男は全く聞く耳を持たない。
『それ以上、口答えしない方がいいぞ』
男は素良の顎を軽く支え上げ、無理やり目を合わせられる。
「お前の言いなりなんかにはならないんだよ」
近寄ってきた事にこれ幸いと唯一自由であった足を動かし、男の股間に向けて精一杯振り上げた。
悶絶する男にニヤリと笑み、ロープを軽く解いた。
「ボクがコレくらいの縄、解けないとでも思った? じゃ、行かせて貰うね、おじさん♪」
振り向いて、出口に向かおうとする。
刹那、横から頬に強い衝撃。壁際までガツンと吹っ飛ばされ、全身に激痛が走る。
『ボウヤこそ、オレたちが1人だけだと思ったか?』
もう一人別の大男が出て来て、素良に向かって吐き捨てるように発する。
『ん? コイツは……あいつの息子じゃねえよ。何やってんだ…』
男は舌打ちをしつつ素良の片腕を掴み、そのまま軽々と持ち上げる。
『本当に違ってたのか…すまねぇ』
男は痛み所を堪えつつ、自分の失態を詫びる。
『まぁいい。それじゃあ、手厚い保護はイラネーな、どうしてやろうか?』
「う……止め……」
叩きつけられたダメージで意識が朦朧として、思う通りに身体を動かす事が出来ない。
目の前の男が顎で合図を送ると、次の瞬間もう一人の男によって履いていたハーフパンツを下着と共に摺り下ろされた。
「なっ……!」
露になる素良の無防備な下半身。
『ハッハッハッ! ずいぶんと可愛いもんだな。どれオジサン達がいろいろ教えてやろうかな』
「クッ! コノォッ!!」
自由であったもう片手で拳を作り、男にめがけて打ち込もうと抵抗するが、それも横からもう一人の男に止められる。
そして力任せにテーブルらしき上に横たえさせられ、両腕は頭上で、足は片方ずつその台の脚に縛り付けられた。
『今度は暴れないように足も縛って置いたから抵抗は出来まい』
ギリギリと男たちを睨み付けるが、心の奥底からの恐怖は拭えず裏腹な感情から剥き出しにされた足が小刻みに震えだす。
下卑たにやけ笑いを素良に飛ばし、手のひらを素良の前で泳がせる。
『さて始めようかね』
見せ付けるように、その手を露になっている素良自身に移動させるとそれをグッと握る。
「……なっ!!」
少しでもその手から逃れようと身体を捻って抵抗するが、それも縛られた足によって制限させられていた。
性器を上下に扱き始められる。と、酷い痛覚に襲われた。
「クァっ!! や…やだ」
痛みに反応する様に、目から涙がぽろぽろと流れる。
『最初は痛いさ……最初はな』
抵抗が出来ないままの素良を利用して、男たちは貪欲に肉欲を満たそうとしていた。
「ふぁ、、、や……ぁ、…ま……て、だ……」
『初めてにしちゃ、しっかり感じてるな。でもしっかり慣らしが必要だな』
(な…らし?)
痛みしか感じない中、彼には何をされるのか皆目検討が付かないでいた。
ごつごつとした男の手に自分の大切なものが握り潰されるかと思ったのだが、そうでもなくただひたすらその場所を上下させていた。
もう一人の男はTシャツを刃物で破り去り剥ぎ取ると、露になった桃色の乳首を弄び始めた。
「なに……し、てんだよ…、おま、えら…」
男たちから与えられる感覚に歯を食い縛らせつつ、怒りを剥き出しにして威嚇する素良。
『お? まだそんな口を利ける元気があるか。ま、始まったばかりだから、なっ!』
その言葉と同時に、下半身で異物感を感じる。そしてピシッっと皮膚が鋭く裂ける感覚も……
「……痛っ!!」
普段は出すべき部分から、何かを入れられている。
間髪を容れず、中で入れられたモノによってグルグル掻き回し始められた。
「!!!…ぁぁあああ、やぁぁぁ、ふぁ、めぇぇっっ!!」
突然与えられた感覚から、流れ出る涙が止まらない。言葉にもならない声を上げて、身体を仰け反らせる。
『ちょっと煩いな。黙らせてやれ』
その言葉と同時にもう一人の男はこくりと頷くと、ボトムスのベルトをカチャカチャと鈍い音をさせて外し、ジッパーを下ろして目の前で自身の性器を取り出した。
『ククッ、さっき蹴り入れられたお返しだな。しっかり舐めてくれよ』
それを素良の顔前まで移動させると、口腔内へと強引に押し入れる。
「!! ぅ〜〜、ゴフッ! う……ッ!……」
臭気漂うその性器で嘔吐を繰り返すが、構わずそれは口腔内で暴れ回る。
『こりゃ、いいぜ。すぐにイッちまいそうだ』
素良の口内の柔らかさと温かさから途轍もない快楽を感じると、貪るように更なる欲を求めた。
無理矢理に中で感じさせられて、下半身ではすっかり反り上がっている素良の性器。男はザラリとした舌で、裏筋を舐めあげ続ける。
尋常でなく嫌である筈なのに、その度にビクンと全身が熱を上げて反応してしまう。
『そうそう、いい反応だ。若いって、イイねぇ』
擦りあげられて同時に挿入されたまま中で動かされると、否応無しに込み上げてくるものがあった。
「う〜〜、む〜〜〜〜ッッ!!」
口から挿入されているモノによって、悲鳴一つ上げることが出来ないで、もがき呻く。
するとフッと口内からそれを抜き出され、その男の性器から顔面に何かが放たれる。
ドロドロとして、臭くて、気持ち悪いソレ。
しかしすでに素良には、そんな事を気にしている余裕は無かった。
「や、だよぉ。ふぁ……やめて……ひゃ、やぁぁ…こわ…ひぃぃよ、ぉッ!!』
湧き立つ様な感覚に、素良から悲鳴交じりの喘ぎ声が発せられる。
『そろそろだな』
突然中から引き抜かれ、行為を止めた。
すると男は自身の性器を見せ付けるように、素良の中心部に当てがわせる。
「あ、ヤダッ……!!」
次の瞬間、男の性器がその深みに捩じ込むように勢いをつけて挿入させた。
男が体重を掛けられると乗せられているテーブルから、鈍く軋む音が聞こえる。
「ふぁ…、や、め。……ん…くぅ」
『どうだ、坊や。気持ちよさそうじゃねぇか』
「や……だ、ユウ…ヤぁぁ!!」
その最愛の人の名を呼んだ。
男は歪んだ笑み見せ、吐き捨てるように自身を身体の最奥に突き上げる。





「そこまでだ!」

バァンッ!と扉が破壊される音と共に聞こえたその声――
LDSの赤馬社長のものだった。
『マジィ、ここでかよ!!』
行為中の身体を引き抜くと、男達は素良の半身を起こしそれを盾にし、近くにあったナイフを拾い上げて彼に突きつける。
『コイツの命がどうなってもいいのか!?』
「……フッ」
赤馬社長は、含みのある笑いを一つ吐く。
次の瞬間、頭上を巨大なモンスターが飛び回った。
遊矢のオッドアイズペンデュラムドラゴンだ。
「ゆー……や」
『な……なんだこれは!?』
男はそのモンスターに驚愕し、体を硬直させる。
「お前ら……許さない……」
奥より静かな怒りを露にした遊矢が、重々しい足音を立てて現われる。
そして足を止め、男たちを睨み据えて静かに指を刺すと、モンスターは咆哮を上げて男に向かい突進する。
衝撃と共に寸での所で消え去ると、男達はガクンと腰を抜かす。
すると間もなく警察とLDSのSP達に取り押さえられ、あっけなくその男達は捕まった。

「素良!」
遊矢の声が響く。
「大丈夫か、素良!! 待ってろ今解いてやるから!」
両腕を縛り付けている、縄を解こうと試みる。
「くっそ、取れない……」
「ゆー、ゃ……」
素良のうつろな瞳は、遊矢を求めて虚空を彷徨う。
その声に答えるように、素良に向かい上半身を抱き起こす。
「どうした、言ってみろ!?」
素良は遊矢の姿を確認すると、安心したかのように一瞬ふんわりと笑む。
次の瞬間崩れ去る様に、力尽きて彼の腕の中で静かに目を瞑った。
「素良!! 素良ぁぁっっっっっっっっっっっっ!!!」
遊矢の悲痛な叫び声は、大きくそして虚しく響き渡った。

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