イフ ユウゥ……

彼は無言のまま、首を横に振る。
「マリク…くん?」
マリクくんは何かを堪えるように、顔をしかめる。
「…行き、なよ…」
そう言うと笑顔を作り、それと同時にゆっくりと私から手を離し、そっと背を押した。

「ありがとう、マリクくん」
私の言葉にマリクくんは、横を向いて私の方を見ないまま、そっとうなずいた。
そんなマリクを背に、私は髪を引かれる思いでありながら走り出した。
運良くそこの道は見通しが良く、獏良くんの姿はすぐに発見できた。
獏良くんは道にある街灯にもたれ俯いていた。

「獏良くん!!」

私は獏良くんに聞こえるようにお腹のそこから叫んだ。
彼は一瞬ぴくりと反応すると、驚いたかのようにこちらを振り向いた。


「待って!!


 ・・・待って、獏良くん」
私は声を上げて叫び、獏良くんを引き止めた。
さん…」


暫く沈黙が続き、そして私は口を開く。
「獏良くん…私、ゴメンネ…?」
「…何で、あやまるの?」
「だって…」
今まで顔を合わせ辛かったことや無視してしまったことがどうしても自分に対しての嫌悪だった。
そのことを獏良くんに告げると――
「そんなこと、ボク、なんとも思ってなかったよ…
 それよりボク…」
獏良くんはそっと私に振り返り、目をつむり……
「ボクは酷いことをしてしまった。
その…さんの気持ち考えずに突然のキス、してしまったから……」


その答えに私は………
いいよ
だめ